ダイエーの衰退にみる、小売業界をちょっと調べてみました。

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ダイエーの衰退にみる、小売業界をちょっと調べてみました。

「『お客さまは最高の教師』と決めている。分からないことは何でも聞き、お客様の不平不満を解消していくのがモットーだ。」
ダイエーの創業者である中内功氏は著書の『流通革命は終わらない』(日本経済新聞社、2000年)でこのように述べていました。

「価格は消費者が決める」「売り上げが全てを癒す」という言葉有名だと思います。

1957年に大阪・千林で1号店を回転、今まで定価主義であった業界からがらりと一転させました。1961年には、自社ブランド:PB(プライベートブランド)商品を日本で初めて開発し、1980年には小売業で初めて年間売上高1兆円を突破し、1980年の後半にはプロ野球球団「南海ホークス」の買収、流通科学大学設立など、事業の多角化を推し進めました。

ダイエーは、1990年代後半から経営が悪化し、1999年には赤字に転落2004年10月に再生機構の下で再生が始まり、2015年にはライバル企業としていたイオンにより完全子会社化されました。

今まで強かった業態の衰退

百貨店、ファーストフード、総合スーパー(GMS)、コンビニエンス・ストア、ホームセンター、家電量販店など、小売業界を1つとってもさまざまな業態がありますが、直近の業態別の売上には、百貨店や家電量販店、ホームセンター等、いわゆる従来型の小売業の売上は減少傾向にある一方、コンビニエンスストア、ドラッグストア等が躍進を続けています。

その背景には、どういったことがあるのでしょうか。ちょっとだけデータをみていきたいと思います。

11月の家計における消費支出は9ヵ月連続で減少

まずは、直近の家計調査から見ていきたいと思います。

1世帯(2人以上)あたりの消費/月(MoM)

※ 総務省「家計調査  平成28年(2016年)11月分の消費支出

総務省が2016/12/27に公表した2016/11の家計調査によると、1世帯(2人以上)あたりの消費はYoY▲1.5%(季節調整値:YoY▲0.6%)と9ヵ月連続で減少、また減少幅は前月から拡大(10月:YoY▲0.4%)してしまいました。
住居、自動車等購入、贈与金、仕送り金を除いた消費支出でみると、YoY▲1.9%(季節調整値:YoY▲0.7%)になりました。

風が吹けば桶屋が儲かる。よく「全体の消費が落ちたので、業界全体は厳しい」とのお話があろうかと思います。
実際にはどうなのでしょうか?

小売業界全体のトレンドは、YoYで▲0.4%

1980-2015小売業界全体のトレンド

※ 経済産業省「業動態統計(最終更新日:2016.12.13 )

主要な出来事を置いてみました。

そうするとバブル経済崩壊(1991-1993年)以降と比べ、小売業界全体の景気は徐々に上がって来ていますが、現在の水準はその他を除くと2001年のITバブル崩壊水準となっています。

また、いわゆるメインプレイヤーの直近の3カ年の売上高も下記の通り、まとめました。

小売業界ランキング:Top10(直近の3カ年の売上高)

(百万円) FY2014 FY2015 FY2016 CAGR
1 イオン 6,395,142 7,078,577 8,176,732 8.5%
2 セブン&アイ・ホールディングス 5,631,820 6,038,948 6,045,704 2.4%
3 ファーストリテイリング 1,382,935 1,681,781 1,786,473 8.9%
4 ヤマダ電機 1,893,971 1,664,370 1,612,735 -5.2%
5 三越伊勢丹ホールディングス 1,321,512 1,272,130 1,287,253 -0.9%
6 J.フロント リテイリング 1,146,319 1,149,529 1,163,564 0.5%
7 ユニーグループ・ホールディングス 1,032,126 1,018,959 1,038,733 0.2%
8 髙島屋 904,180 912,523 929,588 0.9%
9 エイチ・ツー・オー リテイリング 576,852 844,819 915,690 16.7%
10 ビックカメラ 829,833 795,368 779,081 -2.1%

次に、主要どころ(百貨店、スーパー、コンビニエンス・ストア、家電量販店、ドラッグストア、ホームセンター)の業態別の売上を見て見ましょう。

業種別の売上(YoY)

主要どころ(百貨店、スーパー、コンビニエンス・ストア、家電量販店、ドラッグストア、ホームセンター)の業態別の売上
YoYでみると、バブル経済崩壊以降、百貨店からスーパーへそのパワーバランスが変わったところが見て取れます。そして、2009年には、百貨店の売上は急成長してきたコンビニエンス・ストアにも取って変わっています。

業種別の売上(MoM)※ 1980年から持ってくると大変なことになったので直近5年で

主要どころ(百貨店、スーパー、コンビニエンス・ストア、家電量販店、ドラッグストア、ホームセンター)の業態別の売上MoM

MoMでみると、よりその変動が如実に見て取れます。

コンビニエンス・ストアの売上が、スーパーに追いつきそうな勢いが見れます。これは、スーパーにおいては、生鮮野菜の価格高騰が原因の一つになるかもしれません。一方、過去一番強い業態であった百貨店の売上はなだらかに減少傾向にあり、ドラッグストアの売上がそれに迫る勢いを見せています。

※ 経済産業省「業動態統計(最終更新日:2016.12.13 )

顧客の変化をいち早く察知できるものが勝つ

ダイエーばかり取り上げて何ですが、ダイエーは世界でいうゼネラル・マーチャンダイジング・ストア(GMS)、つまりアメリカのウォルマートのような大規模総合スーパーの戦略を日本流にアレンジしたことに始まります。

つまり、人口が多い駅周辺を中心にチェーンストア展開で規模を拡大し、ローコストの商品をお客さまに提供する。ということをやっていました。

しかし、1997年の16兆8635億円をピークに売上は減少しています。
なにがいけなかったのでしょうか?

こうした所謂総合スーパーは、不特定多数の顧客を対象にする商売であり、その顧客に店舗という不動産を通して接し、営業の成否が店舗の立地に大きく左右されるものです。(日本スーパーマーケット原論より)

ということは、ダイエーにおいては、不特定多数の顧客は誰なのか?というマーケティング側面、そして、不動産という点と総合スーパーという点から大量在庫という点をみると、恐らくキャッシュフローが大きなカギを握っていそうです。

アメリカの大手ERP企業が日本になりモノ入りで入ってきたのに、気づいたら撤退していた。なんていうことと似ていますね。。

小売業界の未来の考察

なんだか調べれば調べるほど、長くなりそう(西友のお話とか、もっとマーケ目線とか、財務のお話とか)なので、この辺で簡略で恐縮ですが、最後にちょっとだけ勝手ながら考察を述べさせていただきます。(間違っているかもしれませんが…。)

今の消費者は大量の情報を求めているのではなく、本当に自分に合ったものを求める傾向が大部分を占めるのかもしれません。

それが、コンビニエンス・ストアや通信販売(例:アマゾン)の躍進に見えている特徴かと思います。

もちろん、通信販売においては家でポチッとすればモノが届く。という点が拍車を掛けているには違いないですが、「検索しないと自分が欲しい商品にたどり着けないのに、そのサービスを使うこと」はよっぽど「能動的」でないと人間はできないはずです。

大手の総合スーパーの衰退は、きっとここに「本質」が隠れているのではないでしょうか。

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