選挙活動ネット利用の要否

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 まず、結論としては「日本の政治はインターネットを利用すべきである」とするのが私の意見であります。それを、米大領領のオバマ氏による選挙戦時のインターネット戦略を参考に、若者に向けての政治発信においてインターネット使用することがいかに有効であるか、について述べようと思います。初めは、アメリカのオバマ大統領の選挙戦時のインターネット戦略について、その投票率やインターネット普及率のデータをもとに述べようと思います。
 オバマ氏の勝因はインターネット利用、またその戦略のうまさ、とされるのが一般的であります。しかし、実際の得票率は30代から40代が主であり、インターネットは10代から20代が主なユーザーです。まずはデータを記しておきます。
(*1)
・投票率 63.6パーセント
・民族集団別の投票率 黒人:64.7パーセント
           ヒスパニック:49.9パーセント
           アジア系:47.6パーセント
・オバマへの投票 18〜29歳(構成比18パーセント):66パーセント
         30〜44歳(構成比29パーセント):53パーセント
         45〜65歳(構成比37パーセント):50パーセント
         65歳以上(構成比16パーセント):45パーセント
・米インターネット利用率 60〜64歳:62パーセント
 40〜44歳:83パーセント
 18〜24歳:89パーセント
 12〜17歳:93パーセント

 上記の調査から、アメリカの現状がわかります。
 日本はインターネットの利用者数は9,091万人、人口普及率は75.3パーセント。6〜12歳は68.9パーセントだが、13歳〜19歳が95.5パーセント、20代が96.3パーセント、30代が95.7パーセント、40代が92.0パーセントといずれも9割を超えています。一方で、50〜59歳で82.2パーセント、60〜64歳で63.4パーセント、65〜69歳で37.6パーセントと、アメリカと比べて年齢層が上がると利用者が年齢層上がるにつれ、アメリカより二倍ほど少ない傾向にあります。(*2)しかしながら、20〜40代は9割超えしており、アメリカのインターネット普及率とくらべると、構成要素にかなりの違いがあります。
 オバマ氏のインターネット戦略は、人種構成も関係しています。投票した人のうち29歳以下の白人が占める割合は62パーセント。年齢層が上がるほど白人の割合が高いのです。65歳以上では84パーセントが白人です。残りが有色人種というわけだが、29歳以下の世代でオバマに投票したのは、黒人が95パーセント、ヒスパニックが76パーセント。それに対して、30歳以上の白人層では、マケインに投票した人が57パーセントと多数派であるころがpew research centerの調べでわかります。(*2)
 ところが29歳以下の白人層では、オバマ票がマケイン票を10パーセントも引き離しています。つまり、若い世代でオバマ票が多かったのは、人種構成のためばかりではないのです。さらに付け加えると、80年以降の大統領選挙で若者層は、有権者の平均よりも民主党に投票する傾向がありますが、今回は、飛び抜けて民主党に投票している人が多いことも分かります。平均よりも13パーセントも多く、前回の大統領選挙と比べても12パーセントも多いのです。そうした調査から、今回のアメリカ大統領選挙戦でのオバマ氏の戦略は見事に的中していたことも分かります。
 そして、非常に興味深いものが、オバマ新政権移行のためのサイト「Change.gov」というものがあります。オバマのメッセージ動画が公開され、スタッフの任命など新政権樹立に向けて新たな動きが伝えられ、質問なども受けつけているサイトです。(*3)そして、激しい争いになった州の若い有権者の28パーセントが選挙のイベントに参加したそうです。お金のない若者は上の世代より寄付をする人が少ないものの、それでも10人に1人近くが選挙資金の寄付をしています。(*4)これによって大統領選挙戦時に、若者層の政治への関心が非常に高まっていたことがわかります。さらには、いずれの世代も投票した人の4人に1人がオバマ陣営からの電話や訪問などを受けています。データ(*1)からは、マケイン氏の陣営側からよりも多いことが分かりました。とくに若者層は差が顕著です。オバマ側からのコンタクトがあったという人が25パーセントあったのに対して、マケイン氏の陣営側からは13パーセントにとどまっています。
 この数字は全国平均でありましたが、激戦区であったペンシルバニアやネバダでは、投票した人の2人に1人がオバマ氏の陣営側からのコンタクトがあったと答えています。29歳以下に限ればネバダでは投票 者の61パーセントがコンタクトされたと答え、マケイン側を大きく引き離しています。激戦区の若者層では、どこの州でもオバマ氏の陣営側からのアプローチがあったという答えがマケイン氏の陣営側よりも10〜20パーセント以上多いです。(*5)こうした結果になったのは、オバマ氏の陣営がインターネットをたくみに使って若い支持者を組織化したからではないでしょうか。
 アメリカではインターネットを利用する目的で最も多いのは、Eメールです。(*5)特に高齢者ほどその傾向がみられますが、インスタント・メッセージや、フェースブック(Facebook)やマイスペース(MySpace) といったソーシャルネットワーキングサービス(SNS)、ブログ(weblog)の利用なども増えています。(*5)これが2008年のオバマ氏の大統領選挙時にマーケティングによって、それらを利用した大きな理由であるだろうと、私は理解しています。むしろ、利用しない方がおかしいといっても過言ではないのです。
 若者が独占するオンライン利用といえば、どこになるのでしょうか。それは日本でも有名なYoutubeやオンラインゲームなどのエンターテインメントです。12〜17歳の年齢層の約78パーセント(成人全体の2倍の割合)がオンライン・ビデオゲームをしており、68パーセントがインスタント・メッセージを、59%が音楽のダウンロードを、49%がブログを読むためにインターネットを使っていました。(*5)これに対し、米国版「団塊の世代」であるベビーブーマーのうち初期に生まれたグループに当たる55〜66歳の高年齢層では、音楽のダウンロードに使う人はわずか21パーセント、ブログを読んでいる人は25パーセントに過ぎなかったことがpew research center の調べで分かりました。
 それでは、話を日本に戻して考えてみます。日本では選挙期間以外に当選を目的として投票の依頼などを行うことは事前運動として公職選挙法で禁止されているため、事実上政治家はインターネットを利用して投票依頼を行うことが出来ません。しかしながら、政治活動であれば一向に構わない。事実、勢政治家の多くは現在、自身のブログやホームページを開設しています。これは憲法によって保障されている活動であるというのが一般的な解釈です。選挙において特定の候補者を当選させるため運動が選挙運動、政党などの主義主張を広めるのが政治活動です。
 それでは、選挙運動期間とは一体いつのことなのでしょうか。それは、公示・告示から投票日前日までのことを指します。公職選挙法の第142条第1項に記載してある「文書図画」の「頒布」を禁止により、この期間は選挙活動が禁じられています。もちろん、ホームページやブログの更新も認められず、さらには今はやりのtwitter(ついったー)での更新も禁じています。しかしながら、ここでひとつ疑問が生じます。元々「文書図画」の「頒布」の禁止とは、公平な選挙活動のもとに制定された法律です。それは、お金を持っている者だけがたくさんのビラを「頒布」できることから、これを不公平と考えたのであろうと私は考えます。 確かに、ビラをたくさん作るにはお金がかかります。たくさん作れば作るほど、お金がかかります。しかしながら、 ホームページやブログ、twitter(ついったー)などはどうでしょうか。(*6)たくさん記事を書けば書くほど、お金は掛かりますでしょうか。アクセス数が上がれば上がるほど、お金は掛かるのでしょうか。それは、インターネットの利用者の9,091万人、人口普及率の75.3パーセントの人が、無料であると知っています。つまり、かかるのは時間で、これは日本人、世界各国全ての人が24時間という平等であり、何も不公平なことはないのです。アメリカで考えると、なんと10年以上前から選挙活動において、インターネットが積極的に活用されてきました。
 日本語のブログ数は世界一であることも、今回インターネットを政治活動や選挙活動に利用した方が良いとする要因です。(*7)総務省情報通信政策研究所によると、インターネット上で公開されている国内のブログの総数は2008年1月現在、約1,690万であり、記事総数は約13億 5,000万件にも上ります。1ヶ月以内に1回以上記事が更新されている「アクティブなブログ」は2割弱の約300万。更新されなくなった既設ブログも相当数あるものの、毎月新たに開設されるブログ数は、近年毎月40万から50万程度で推移しており、個人による活発な情報発信が根付いていることがわかりました。この中に政治家のブログも含まれているは当然です。
 以上のことを踏まえて、「日本でインターネットを利用した選挙活動は解禁すべきである」という結論を見いだすことができます。むしろ、アメリカの若者有権者よりも日本の若者有権者の方がインターネットの利用頻度が高いため、インターネット利用の政治活動や選挙活動は、アメリカよりも有効であるとも考えられるのではないでしょうか。ブログやホームページ、twitter(ついったー)に関しても、世界一の数を誇る日本は、それだけ利用者または閲覧者が多く、興味を持っているのも分かります。さらに申し上げると、 若者層である20代、30代のインターネット普及率が90パーセント以上であることから、その導入価値は非常に高いものと考えるのが、素直ではないでしょうか。
 「なりすましや誹謗中傷が問題だからネット選挙を解禁すべきではない」という指摘があるだろうと思います。もちろんそのイメージは、私にも理解はできます。しかしながら、これは非常に奇妙な話で、むしろ時代錯誤はないでしょうか。ネット選挙が解禁される前から、2chなどに代表される匿名掲示板には、胡散臭い選挙情報やなりすまし、誹謗中傷が山ほど書き込まれています。マスメディアに左右される人間も多くいるのも事実です。だから、インターネットを利用して選挙活動をしたら良いというわけではないです。つまり私が申し上げたいのは、ブログやtwitter(ついったー)を使うことができれば、また自身の公式サイトを使い政治活動や選挙活動が出来れば、そのいわれなき誹謗中傷に反論することができ、なりすまされるリスクも減るはずです。もし、なりすましを受けたとしても、その反論や事実証明などもインターネットを介して行うことができ、有権者は様々な情報に左右されることなく、自分の意見で政治家を判断することができるのです。増加の一途を辿るインターネット普及率であるからこそ、そういったことに非常に意味があります。(*7)
 最後にまとめとして、有権者として認められた20代若者世代はIT革命や、常時接続の普及が始まった2000年に10代であり、また1999年にはi-modeがサービスインしてきた、物心ついたときからのインターネット世代です。日本の選挙の投票率は若者層と高年齢層では反比例しています。若者層の政治参加を訴えるのであれば、インターネットの政治利用はほぼ不可欠といって良いと私は思います。そしてさらに面白いことに、流行りのtwitter(ついったー)のユーザーは10代や20代よりも30代、40代の人間の方が多いそうです。(*8)またブログに注目しているのも35〜49歳とアプローチも幅広くあります。(*9)そういったことも踏まえて、やはり今後の日本政治はインターネットを無視できない状況であることは間違いないといえます。むしろ、アメリカと比べると非常に遅く、早急にこの問題について対処しなければなりません。そして、その若者世代が次の高年齢層になるわけですから、留保している時間はないともいえると私は思い、結論として「日本の政治はインターネットを利用すべきである」と導き出しました。

以上。
 

−参考資料・文献−
・*1pew research center 「Young Voters in the 2008 Election」のグラフ参照
(https://pewresearch.org/pubs/1031/young-voters-in-the-2008-election)
・*2総務省調べ(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_000001.html)
・*3オバマ新政権移行のためのサイト「Change.gov」(https://change.gov/)
・*4毎日新聞(2008/11/06)の記事から
・*5pew research center 「Internet, broadband, and cell phone statistics 」参照(https://www.pewinternet.org/Reports/2010/Internet-broadband-and-cell-phone-statistics.aspx)
・*5六法全書・公職選挙法 第142条第1項参照
・*62009年7月21日の閣議により、twitter(ついったー)による選挙運動は公職選挙法に違反するとした見解を示した。
・*7総務省情報通信政策研究所調べ。
・*8pew research center (https://www.pewinternet.org/pdfs/PIP%20Twitter%20Memo%20FINAL.pdf)
・*9株式会社ビデオリサーチインタラクティブ(https://www.videoi.co.jp/)調べ
(ITmedia:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/0604/13/news063.html図参照)
・誠.Biz
・覇権の終焉 中西輝政 php研究所
・毎日新聞
・参議院 質問主意書 (https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/171/meisai/m171234.htm)
・IT Plus
・twitter
・CiNi 各種文献
 オバマは何を変えたのか (アメリカ大統領選挙を読み解く)
 アメリカ大統領選挙のコミュニケーション : オバマは何を語ったか 

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